東京都議会におけるヤジが問題となっていますが,今回は議場におけるヤジなどに対する懲罰に関連して法律等の規定を検討したいと思います。
今回のようなトラブルは,どこの議会でも大なり小なり発生しています。このようなトラブルが発生した場合には,メディアを使って拡散するとともに,法律等に則って手続きを進めることも必要です。
本協議会に所属する行政書士は地方自治法等の法令に精通しており,クライアント議員が議会に関するトラブルに巻き込まれた場合には,代理人として議会事務局などと折衝することもあります。
地方自治法では,懲罰について以下の規定があります。
地方自治法
第十節 懲罰
第百三十四条 普通地方公共団体の議会は、この法律並びに会議規則及び委員会に関する条例に違反した議員に対し、議決により懲罰を科することができる。
2 懲罰に関し必要な事項は、会議規則中にこれを定めなければならない。
第百三十五条 懲罰は、左の通りとする。
一 公開の議場における戒告
二 公開の議場における陳謝
三 一定期間の出席停止
四 除名
○2 懲罰の動議を議題とするに当つては、議員の定数の八分の一以上の者の発議によらなければならない。
○3 第一項第四号の除名については、当該普通地方公共団体の議会の議員の三分の二以上の者が出席し、その四分の三以上の者の同意がなければならない。
第百三十六条 普通地方公共団体の議会は、除名された議員で再び当選した議員を拒むことができない。
第百三十七条 普通地方公共団体の議会の議員が正当な理由がなくて招集に応じないため、又は正当な理由がなくて会議に欠席したため、議長が、特に招状を発しても、なお故なく出席しない者は、議長において、議会の議決を経て、これに懲罰を科することができる。
地方自治法134条2項を受けて,東京都議会会議規則では以下のような規定が設けられています。
第十四章 懲罰
(懲罰事犯及び発議権)
第百十二条 懲罰の動議は、文書をもつて所定の発議者が連署して議長に提出しなければならない。
2 前項の動議は、懲罰事犯があつた日から起算して三日以内に提出しなければならない。但し、第九十三条第二項の規定違反については、この限りではない。
(懲罰動議の会議)
第百十三条 懲罰の動議が提出されたときは、議長はすみやかに会議に付さなければならない。
(懲罰事犯の審査)
第百十四条 懲罰事犯の審査については、第九十七条の規定を準用する。
(一身上の弁明)
第百十五条 議員は、自己の懲罰事犯の会議及び委員会において議会又は委員会の同意を得て、自ら弁明し、又は他の議員をして、代つて弁明させることができる。
(出席説明要求)
第百十六条 委員会は、議長を経由して、事犯者及び関係議員の出席説明を求めることができる。
(戒告、陳謝)
第百十七条 公開の議場で戒告し、又は陳謝させようとするときは、委員会は、案文を報告書とともに議長に提出しなければならない。
2 戒告又は陳謝は、議会の決める戒告又は陳謝文によつて、公開の議場で行わなければならない。
(出席停止)
第百十八条 出席停止は、七日以内とする。
2 出席停止を命ぜられた者が、その期間内に会議又は委員会に出席したときは、議長又は委員長は直ちに退去を命じなければならない。
第百十九条 削除
(昭五六、一〇、八)
(懲罰の宣告)
第百二十条 議会が懲罰の議決をしたときは、議長は公開の議場で宣告する。
上記より,議場でヤジを受け,ヤジを発した議員に懲罰を科したい場合には,当該ヤジが発せられた日から起算して三日以内に動議を提出しなければなりません。この点を踏まえて対応することが重要です。.