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後援会などの政治団体が開催したイベントに関する収支について不正な支出をし虚偽の報告書を提出した場合 | 全国行政書士公職選挙法及び政治資金規正法連絡協議会

後援会などの政治団体が開催したイベントに関する収支について不正な支出をし虚偽の報告書を提出した場合

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小渕優子 経済産業大臣の政治資金問題

 小渕大臣の後援会が開催したバス旅行について、その収支報告書が事実と違うとして問題になっています。この問題について政治法務の観点から考察してみたいと思います。

 報道によれば、本件では政治資金規正法と公職選挙法の問題が考えられます。以下に問題点を指摘したいと思います。

1.政治資金規正法上の問題点

 報道によれば、2007年から恒例行事となった観劇会に関する収支報告が、2008年と2012年で不記載だったようです。さらに、2010年と2011年は収支が食い違っているということです。

観劇収入を08年も不記載 小渕氏団体、ずさん会計常態か
2014/10/20 0:38 日本経済新聞 電子版
小渕優子経済産業相の関連政治団体の不透明な収支を巡る問題で、地元の有権者らが参加した2008年の「観劇会」の会費収入が、同年分の政治資金収支報告書に記載されていないことが、19日分かった。観劇会は07年から恒例行事になったとされるが、10、11年分の収支の食い違いに加え、12年分の不記載が既に判明、ずさんな会計処理が常態化していた疑いが強まっている。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG18H0M_Z11C14A0CC1000/

 この点について、不記載はそれ自体に対して罰則があり、5年以下の禁錮又は100万円以下の罰金(政治資金規正法第25条、収支報告書の不記載)となります。また、観劇会の存在を隠すために不実の記載をしたのであれば、政治資金収支報告書の虚偽記載であり、同様に5年以下の禁錮又は100万円以下の罰金(政治資金規正法第25条、虚偽記載)となります。

 2.公職選挙法上の問題点

 今回の件では記載自体が無い年があるなど、不記載であることが濃厚のようですが、仮に正しく記載されていたとしても、さらに公職選挙法上の問題があります。

 例えば、報道によると2010年の政治資金収支報告書には、観劇に関して372万円の収入がある一方で、合計で1300万円以上の支出があるとのことです。支出と収入の差額である約1,000万円は、小渕大臣の後援会と関連の政治団体が負担したことになります。

小渕氏政治団体、過大な支出…「観劇会」で差額
2014年10月16日 07時51分 読売新聞
観劇会を行った政治団体は「小渕優子後援会」。10年の政治資金収支報告書には、「機関紙誌の発行その他の事業による収入」として観劇会に約372万円の記載がある一方で、明治座に同10月1日付で「入場料食事代」として約844万円を支払ったと記載していた。政治団体「自民党群馬県ふるさと振興支部」も同じ日付で、「組織活動費」の「入場料食事代」として明治座に約844万円を支出しており、合わせると収入を約1300万円上回る金額を支払っていたことになる。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20141016-OYT1T50013.html

この点について、公職選挙法上の問題点は2つあります。一つは寄付についての問題。もう一方は差額買収(饗応買収)に関しての問題です。順に検討したいと思います。

2-1.寄付について

公職選挙法において「寄附」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付、その供与又は交付の約束で党費、会費その他債務の履行としてなされるもの以外のものをいいます(公職選挙法第179条2項)。

 そして、後援会などの後援団体は、当該選挙区内にある者に対し、いかなる名義をもつてするを問わず、寄附をしてはなりません(公職選挙法第199条の5)。これに違反して寄附をしたときは、3年以下の禁錮又は50万円以下の罰金に処されます。

2-2.買収について

観劇イベントの際に投票を呼びかけるなどしていた場合は、買収罪の成立も考えられます。総選挙直前に開催された場合や衆議院選挙の任期後半に開催された場合には、「選挙が近い」・「選挙に向けて頑張ろう」との雰囲気の中で投票の呼びかけが行われた可能性があります。

 このような場合には、当選を得させる目的で「供応接待」を行ったことになり、後援会や関連の政治団体が負担した差額分が供応買収に該当します。この場合には、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処されます(公職選挙法第221条)。

上記のように、様々な問題を抱えた事案であり、今後の展開に注目したいと思います。.

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